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Posts Tagged ‘LPレコード’


『ターンテーブルマットとスタビライザーを復活すべし』


   


     1月 29th, 2018  Posted 12:00 AM

日本国内でのLPレコード、その生産が100万枚を超えたということです。
そして、LPレコードプレーヤーが新企業からもUSB対応なども発売です。
私自身はPCM録音、つまりアナログ系からデジタル系に丁度進化時期に、
東芝Aurexを離れました。
最終製品は今では伝説とまでいわれているエレクトレットコンデンサー、
そのプリアンプとカートリッジでした。
交通被災で車椅子生活となり、東芝に籍を置いたまま、フリーランス。
レコード針ナガオカから、新規ブランド=ジュエルトーンブランド開発、
これに携わることをナガオカから依頼されていました。
その当時には、レコード周辺のアクセサリー開発でヒット商品と、
オーディオフェアの見本市ディレクターからフリーになっていたのです。
あれは1987~1989年頃だったと思います。
その中でも、レコードプレーヤーのターンテーブルマット(右)と、
レコードスタビライザー(左2点)は
おそらく最高のテーブルマットとスタビライザーだったと自負しています。
幸い自宅にはSAECのターンテーブルマットがありました。
今では新規レコードプレーヤーは何も工夫がされていません。
そこで、SAECのマット(高純度スティール盤)をセットしてみると、
なんとダイナミックレンジ=再生周波数帯領域が激変しました。
そうなると、当時、私がたどり着いていたのは高密度ガラスでした。
最近では、レコードプレーヤーでもDSD対応でのデジタル化も可能です。
しかし、ターンテーブルマットまでの詳細な音響対応は大欠落していました。
私はあらためて、可能であるならこのガラスマットと
スタビライザーをさらに現代化を望んでいるのです。
価値とは「好ましさ」と「望ましさ」です。
それを決定付けるこうしたターンテーブルマットとスタビライザーで、
アナログとデジタルが可能になると予知しています。

*「SZ-1000・私のオーディオ最終作だから」
* 『ターンテーブルマットはガラス素材にたどりついた!』


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『レコード針ナガオカが必ず再復活してくれるだろう』


   


     1月 28th, 2018  Posted 12:00 AM

山形県東根市の「ふるさと納税」、
その返礼品にレコード針ナガオカから1978〜79年頃の私デザイン、
そのカートリッジは今でもオーディオ専門店で見つけることはできました。
が、まさか返礼品になっているとはびっくりでした。
しかも次世代デザイナーから、あれ、川崎さんのデザイン?と聞かれ、
「そうなんだ!、今なお商品なんて驚いている」ということから、
社長が亡くなりその息子さんも逝かれて、奥様が代表となっておられました。
ナガオカには、東芝出身のデザイナーが一人でほぼ9割の仕事をしていた、
そんな話が残っていました。と同時に
当時私がナガオカをジュエルトーンブランドのパンフレットがあり、
当時、国内レコード店8000店の中で
ナガオカ取引店は5000店での展示計画までありました。
長年私が探し求めていたカートリッジのデザイン詳細図や、
5倍図で描いていたレンダリング、
編集すべて私のデザインが出てきたのです。
LPレコードはもう107万枚がプレスされる時代が復活したのです。
まして、若き日の私デザイン=レコードカートリッジは、
カンチレバーが「ボロン材」なのです。
ボロンとは今なお私は最軽量の素材として、
これでメガネフレームを実現したいと思っているぐらいの作品です。
私の中のオーディオ経験が一辺に再興を始めてしまいました。
レコードも3000枚は持っていましたが、
整理して、ともかく私が気に入っているいわゆる名盤、
特にDAMレコードはユニバーサルレコードから配信が決まり、
なんと、その電話はナガオカの経営者となった女性社長や
次世代デザイナーであると出逢ってすぐの知らせでした。
叶うことなら、オーディオの世界が私を呼んでいる気がしています。
実際、自宅のオーディオシステムは、おそらく最高級システムです。
そこに、改めて最高級のターンテーブル・アーム・デーブルマットなど、
私は一新するつもりになっています。
なぜなら、オーディオ聴取、レコード演奏家(菅野沖彦先生名辞)は、
最高の趣味だと確信しているからです。
あらためて、この周辺を書き直したいと考えています。


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『ふるさと納税に私デザインのカートリッジを発見』


   


     8月 2nd, 2017  Posted 12:00 AM

ふるさと納税に、若き日の私デザインがまた選ばれていました。
ふるさと納税は、福井県西川知事の提案から始まりましたが、
今日の納税お礼品競争を危惧されていました。
案の上、ふるさと納税のお礼商品競争になっています。
ふるさと納税での成功と大失敗があるようです。
先般、私デザインのキッチンナイフは
福井県越前市のお礼品になりました。
ワイフは全国各地のフルーツや肉などを選んでいて、
山形県東根市のふるさと納税で、この商品を見つけたのです。
もうこの企業は解散しましたが、ナガオカブランドで、
かつて私がデザインしたカートリッジがそれも6種あるのです。
本来は「ジュエルトーン」ブランドで、この商品シリーズを企画し、
パッケージ、カタログイラストレーションまでデザインしました。
このブログでも取り上げています。
今再びレコードプレーヤーがブームになってきました。
1978〜79年代の作品ですからロングライフ商品になっていると自負します。
一度、オーディオショップで見つけて全種類を買おうと思いましたが
カートリッジは10000円から70000円という高額商品です。
当時はほとんど不可能と言われていた厚肉透明アクリルカバーのパッケージ、
カートリッジ振動を制御するシェルとの整合性までを簡潔に設計、
かなり満足したデザイン仕上げになっています。
山形県には親友もいますし、私の助教の出身地ゆえ、
「東根市ってどんな街」と聞いているぐらいです。
カートリッジにはMM型・MC型まで、さらに、シェル、リード線と、
LPレコードを楽しむ「大人の男の趣味」です。
いづれ全種類を私デザインの資料・音質チェックにします。
是非、東根市に納税してこのカートリッジで聴き比べてください。

* 『アナログの極致=レコード再生のカートリッジ』
* 「カートリッジデザインのフィニッシュワーク」
* 『カートリッジの性能をさらにアップさせるために』
* 『LPの音は聴覚という触覚感覚でありそのためのしつらえ』
* 『LPレコードのアーカイブが出来上がりつつある』


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『DAMのアナログからデジタル変換期の最初のCD』


   


     8月 15th, 2016  Posted 12:00 AM

ちょうど、LPレコードがCDに変わることは、
音楽・音響の世界がアナログからデジタルに変換することの大転換期でした。
しかし、その時期に自分は交通被災に遭い、その直前にPCM録音を
東芝の音響研究の現場で目の当たりにしていました。
フリーなってからは、
CDプレーヤー・CDカートリッジのデザインに関与してました。
そのアナログからデジタルでの転換時期にDAMが
CDづくりをしていましたが、自分は聞いたことがありませんでした。
DAMが当時出版していたこの特別なまさにオーディオマニア向けのCDが
とてもほしくてその中心人物だったオーディオの師匠の一人に頼みました。
このDAMの全LPレコードとCDの原盤は東芝EMIのディレクターが保存。
その彼の死後、ご家族からの申し出でwebsiteで発表に及んだのでした。
市販のモノと何が異なっているかというと、
まず音楽ジャンルは選び抜きそれぞれの音楽性と録音性は最高でした。
それこそ、音楽家から文句が出るほど、LPレコードは45回転と超厚番プレス。
このようなレコードは世界でも屈指の特にオーディオマニアには、
垂涎の仕上がり品であり、しかもその音楽と音響解説は絶対に残しおくべき、
世界でも屈指のモノであったと自分は考えています。
自分が交通被災時前後、
アナログからデジタルへの転換をどう乗り切ったのかというCDがきました。
さすがに選び抜いた音楽でしたが当時のCDはアナログLPレコード45回転を
まだまだ超えてはいなかったという手紙もとどきました。
まだ自分は聴いてはいないだけに、アナログからデジタルという転換を
これからじっくりと確かめてみようと思っています。
確かに最近のCDでは、
デジタル性にだけ拘っていて満足な録音は激減しています。
これにはiPodのイヤホーン音楽がラウドネス化した悪影響化があります。
CD化される音楽のデジタル処理への録音技術の低下が起こっています。
今回、アナログLP45回転レコードには及ばなかったという初期CDこそ
DAM(第一家庭電器オーディオマニア向け)が証明していたのでした。

# DAM=Daiichi Audio Menbers club

* 『世界でトップだったアナログ45回転レコード盤の復活』
* 「企画は必ず具現化すること」
* 『LPレコードのアーカイブが出来上がりつつある』
* 『音場空間を再調整再整備し直しました』
* 「バイノーラル録音・本当の耳音」


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『LPレコードのアーカイブが出来上がりつつある』


   


     3月 30th, 2016  Posted 12:00 AM

僕はオーディオのデザイナーから出発という幸運があります。
東芝では当時オーディオ専門ブランドAurexに関わり、
Aurexブランドロゴから製品開発・商品化だけではなくて
ショールームからコンサート企画、
そしてLPレコードづくりまで担当しました。
単純に担当というより、
自分で企画書を書き上げて上司を説得していました。
そんな中でも、
LPレコード企画などが東芝では通らないことはしばしば。
そんな時にはその企画を
DAM(当時最大の量販店のオーディオクラブ)に、
僕は持ち込むと同時に、 DAMから信頼も受けていたので、
TV-CFやDAM販売キャンペーンのディレクターもしていました。
無論、東芝の上司にはほぼ公認をしてもらっていました。
DAMといえば、特別高度な音質のLPレコードを出版していました。
これは当時、東芝EMIの力添えがありました。
東芝EMIで担当であった方が亡くなり、その遺言から、
DAM レコードを後世に残す話が持ち上がり、
東芝の社員であり、また45回転で超厚のレコード盤制作に
まさにはまっていたことからも、協力者の一人として参加。
DAMのLPレコードは、音質の優秀さで、有名な指揮者事務所や
有名歌手グループ事務所からなどクレームが出るほどでした。
私が直接関わったレコード盤は、
「トラックダウン=レコード製作プロセス」を知らせることで
それはオーディオ機器、カートリッジやプレーヤーシステムまでの
音質チェックになるレコード盤があり、レコードジャケットデザイナー名を
入れてもらうことで、東芝に納得をつけてもらっていました。
これはバイノーラルレコード出版につながりました。
東芝ではOKがもらえなかったのですが、
DAMでのヒットゆえに、
結局は東芝のプレミアム広報として実現しました。
かつて、オーディオでの最も正確な音質レコード盤の
アーカイブが完成しました。
アナログレコード盤としては最高のモノづくりだったので、
今では徐々にファンが増えてきています。
私はひたすら音響関係のデザイナーであればそれでいいと思っていました。
だから、今でもその思いは残っています。
大学人をリタイアしたなら、
もう一度、オーディオ機器のデザインと設計に関わりたいと考えています。
すでに、ヘッドホンアンプの設計とデザインに取りかかっています。

*「企画は必ず具現化すること」
 https://ouzak.co.jp/blog/?p=23523
*「ここまで粘り、あきらめないこと・・・」
 https://ouzak.co.jp/blog/?p=23541
*『世界でトップだったアナログ45回転レコード盤の復活』
 https://ouzak.co.jp/blog/?p=42369


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『Max Billの賞杯があったことを思い出した』


   


     3月 24th, 2016  Posted 12:00 AM

僕は自分の作品を自宅などに置いて使ったり眺めたりするタイプではなく、
置いた方がよければ、というタイプです。
しかし、最近は自分の作品どころか、デザイン賞受賞での
その賞状や賞杯を整理もしたくて
整理を始めました。
そうなってくると、私が最も気にいっている賞杯は、
ドイツの彫刻家でありデザイナーの「Max Bill」デザインです。
これは年号も調べ直すべきですが、多分、1985~1990年?
ドイツのミューゼオロジー賞をいただいたモノです。
受賞の知らせは、突然、ドイツから入り、
賞杯が「Max Bill」デザインと聞いて大喜びした思い出があります。
しかも、彼のアイディアはピタゴラスの定理であり、
自分がテーブルデザインで辿り着いていたアイディアであったことです。
この定理は、単純に、3:4:5の三角形、
正方形が各辺、9:16:25の組み合わせでした。
正直最近は、あったはずのモノなどが、
デザイン試作・モデル・作品・賞状・賞杯などは、
あるはずと悠長に構えていたら、
在るべきモノが持ち出されていて慌てています。
しかし、今、この「Max Bill」デザイン賞杯を見てちょっと安心です。
そろそろ整理すべきMacintoshのハード機器も
それなりに収集してきました。
これらの整理は、そのソフトウエアも見つかってきて
重大なひとつのアーカイブになる気がしています。
昨日は若いときに懸命になっていたLPレコード集のHP実現を知りました。
これもこれからここで紹介をしていきたいと考えています。


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『音場空間を再調整再整備し直しました』


   


     12月 15th, 2015  Posted 12:00 AM

何度でも言いたいのは、私はオーディオの世界から
デザイナーとして出発したことでした。
美術学校でデザインを学び、そのおかげで絵画から工芸を知り、
オーディオの世界では、徹底的にクラシックを、ピアノ曲を、
ヴァイオリン曲を、オーケストラを、そして現代音楽を学んだことでした。
一端、私はCDを離れていましたが、
再度、CDプレーヤーをリファインと調整をしてもらって、
「音場」をもう一度、自宅の音響空間を再調整できたことです。
一度は、CDをほとんどハードディスクにリッピングをしましたが、
自宅には、「音像空間」と「音場空間」を整備しています。
もう一度それらのすべての再調整をしてもらいました。
幸いにして、EIZOのFORISは、EIZOで自分が関わった最終製品ですが、
これは未だに4K液晶TVに至適する性能を持っていると自負できます。
「音像空間」では、最もボーカルやソロ演奏が確認することが可能ですが、
「音場空間」は、それこそ私が美大の卒業制作でも目指していた、
その音響空間が可能になっています。
すでにCDプレーヤーシステムはもう1セットを隣室に準備してあり、
それも今徹底的に調整中です。
本当はLPレコード再生も、レコードプレーヤーとカートリッジを
3セット並べたいぐらいですが、そこまでのスペースはありません。
どこかにもうひとつ自宅あるいは別荘にでも音響システムが必要です。
少なからず、視覚と聴覚は最もまともにしておきたいと考えます。
正直、建築家やインテリアデザイナーで音響に長けた人物は居ないとさえ、
私は思っているぐらいです。
ともかく、次世代には本当の音響空間を聴かせたいと思っています。
そのためにも、自動車においても、今、何が最高のシステムであるかを
私は徹底して求めていきたいと考えています。
自宅寝室と自宅玄関は、
こうした音響と映像をすべて最高のコントロールへ、
それは私自身が実験することで、最高の映像、最高の音響、
それも音像と音場が必要であり、
幸いにして、自宅空間のWi-FiやIRを制御することでは、
プロとしての空間と装置には徹底的に拘りたいと考えています。


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『アナログプレーヤーをAurexSY-λ88で試用』


   


     10月 15th, 2015  Posted 12:00 AM

「Beogram9000」を持ち出してきてしまいました。
LPレコードプレーヤーもそろそろ断捨離の時期です。が、
私のオーディオコレクションから、
とうとうLPレコード再生をなんとしても私のシステムへと組み込みました。
「Beogram9000」のMMCカートリッジはもはや手に入りません。
最も、e-Bayなどでは中古品はありますが、
まだ、私のB&Oのカートリッジは、手入れがされていて大丈夫です。
ところが、このシステムにはフォノイコライザーが必要です。
そこで、気づいたのはAurexSY-λ88をプリアンプにして、
このプリアンプで、ともかくAmpzilla2000に直結しました。
AurexSY-88も試しましたし、AurexSY-λ88は万一、
部品用にというコレクションもありますし修理所も見つけています。
果たして、このシステムで稼働するのかどうかです。
フォノイコライザーならば、若かりし頃にこっそりと開発していて、
上司から隠し事で開発をしているだろうと言われたAurexのSZ-1000は、
コンデンサーカートリッジ用ですが、
電源オフ状態で、スルー回路が使えます。
正直、記憶は大分と消えていますが、私にはAmpzilla以前の
Godzilla記憶が鮮明にあります。
当時は、国内にたった2台しか
東芝が出張で買い求めていたのがあるにも関わらず、
国内のオーディオ雑誌に載っていて
Aurexエンジニア達は、これで当時の評論家に優劣を明確にしました。
私への指令は、SZ-1000は必ずGodzilla直結というものでした。
つまり、フォノイコライザーをプリアンプとしたなら、
PowerAMPはこれしかありえないという判断でした。
その結果がSY-77の開発につながり、SY-88の企画書を書きました。
SY-88が生まれたときに私は交通被災で入院していました。
当時、東芝のAurexはここまで開発をしていて儲かるわけがない、
そんな声が出始めていましたが、
そこにさらにもっと進化しSY-λ88でした。
私にとって、パワーアンプはアンプジラしかないのです。
幸い、大阪でのシステムは、Ampzilla2000です。
JBL4343にこれを2台というのは無謀でしたが、
200Wで自宅の音像システムは十分です。
この音像空間の中央で、例えばボーカリストは歌ってくれるのです。
ともかく、Beogram9000をAurexSY-λ88でのMCは、
見事な歌唱力、音響力を確認しました。
LPレコードプレーヤーを
自宅のオーディオシステムに入れることは決めました。
さて、これからが問題になります。
LPレコード再生はアナログの世界ですが、
すでに私の他のシステムはデジタルです。
この解答を自宅システムに取り入れることにしています。
当然、音像を確認する椅子はリートフェルトのデザインです。


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『K7の最高機種デザインはAurexデザインだった』


   


     9月 13th, 2014  Posted 12:00 AM

「K7」、フランスでは「K=カ、7=セット」の表現でした。
カセットテープとLPレコードに私はデザイナー初期の頃には
最も関わっていたと思います。そしてもはやそのソースは伝説です。
これがカセットでは最高のモノ、TDKメタルカセットテープです。
しかし、TDKの商品ですが、デザインは東芝オーレックスチーム。
当時のKチーフは、Aurexブランドのために引き抜かれて、
私の直属チーフであり、私のようなどうしようもないデザイナーの
わがままを見護ってくれていました。今も恩師の一人です。
オーディオデザインにとって、最大の敵はS/N比でした。
アナログ信号に対する雑音比の問題です。
今となると、デジタルはそのS/N比消却だけであり、実際は、
信号をとりまいている雑音に安らぎがあったのだと思います。
カセットテープにはモーターだけでなく、テープそのものにも、
振動系が被さってテープの雑音制御が必要でしたから、
テープ重量と回転振動系をアルミ無垢材で物理的にも押さえ込む、
この方式開発はチーフ指示がありそのモデル化図面化をしましたが、
テープ製造はTDK発注となり、結局このデザインを売却したのです。
Aurexブランドに出来なかったのは、上層部の判断でしょうが、
若気盛んだった私が噛みついていましたが、チーフは大人対応で、
「デザイン権売却」を成功させていました。
だから私は以後のカセットテープはこれを使っていたようです。
フリーランスになってからは、カセットテープ関連を
様々に商品アイテムを開発してヒット商品を出していました。
車イス生活でふるさと福井にいた頃、貧窮すると必ず東芝から、
デザイン依頼がありましたが、後になって、それはすべてKチーフが
私を助けてくれていました。
あるとき、私がタケフのナイフ開発の頃、チーフはその出来映えから
「カワサキ君、これで君は必ず復活してくるよ」と励まされました。
時折、私の講演会を最後尾で聴いていただいています。
チーフが私に、
「そういえば、君には金の儲け方を教えなかったね」と
言われたことがありました。彼は幾つかの企業を成功させています。


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「機関車の魅力=鉄道の魅力に潜むデザイン論理」


   


     6月 25th, 2012  Posted 12:00 AM

大阪駅に帰って来ると、
C57155の車輪が迎えてくれます。
子供の頃から、蒸気機関車が大好きでした。
「デゴイチ」か「デコイチ」かの区分にも私見があります。
そしてなんといっても北海道で、
蒸気機関車が全面ストップ寸前、まだ東芝マンでした。
それゆえに「蒸気機関車・SL録音出張」までしました。
しかもその録音はLPレコードとして商品化できました。
3重連で走りそこに雷鳴が、という素晴らしい音録りをしました。
鉄道は、子供たち、特に男の子にとっては魅力があります。
そこで、次のような課題を考えることができます。

■1.「新幹線はとても速い」だから「子供達に人気がある」
■2.「新幹線はとても速い」だから「目的地に速く着く」
■3.「蒸気機関車はかっこいい」だから「未だに人気がある」

この三つのテーマの中で、いわゆる数理的論理性は2だけです。
ところが、デザイン的な論理は、1と3です。
それには、二つの重大なキーワードがあると考えます。
まず、新幹線は流体力学的にも
造形デザインでスピード感がある形態=形態言語があります。
この造形言語による形態言語が、子供たちを虜にするのです。
また、蒸気機関車の造形言語には、力強さがあります。
この力強いという形態言語にさらには郷愁感が加わります。
したがってこの郷愁感には、
ノスタルジーやアンティック感は人間の感性を静謐に刺激します。
私は、現代デザイン・未来デザインとしての鉄道には、
速度性がある造形言語が創出されるべきだと思っていますが、
もう一方では、蒸気機関車のZゲージでは、
ドイツでの蒸気機関車のある種類に拘っています。
それは、速度感が編年的にアンティック感へ移行する感覚、
その魅力を見極めたいと思っているからです。
稲妻と雷鳴の中で、三重連で走るD51の姿=形態言語は、
今も私の脳裏には明確に思い出すことができます。
造形言語と形態言語の関係、
この構造主義性はこれからのデザイン論理として研究が必至です。


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