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『アナログ技術の一端、ターンテーブルの素材開発に気づく』


   


     9月 16th, 2014  Posted 12:00 AM

Aurex SR-370は人工大理石ボードのレコードプレーヤーでした。
ダイレクトドライブ方式は、当時、テクニクス仕様が決定的であり、
レコード回転の精度と振動系は、アナログオーディオにとっては
相当の音楽シーンを創ることに成功していたと思っています。
しかしそれでもまだまだ解決しなければいけない問題がありました。
アーム、カートリッジ、リード線、そして、レコード盤のベースなど
私には毎日考えつくしていた気がします。
フリーになって、いち早く取り組んだのがレコード盤設置ベース。
これは、レコード周辺器具メーカー・ジュエルトーンブランドです。
まず、レコード盤も持ち歩けるケースのパッケージからデザイン、
それから、東芝時代にはゴムマットでは全く駄目だと結論づけました。
だから、最近はまたアナログプレーヤーの音響がブームですが、
このゴムマットを使っている人は、まだまだ理解できていません。
私はLP盤は相当に持っていましたが、決着をつけて、
ジュラルミンケース一つだけ、50枚にしてしまいました。
すべてリッピングしてデジタルソースに変えてしまっています。
それこそ、アームならSMEというのも神話だと認定します。
本来、LPレコード盤制作は直線で型づくりをしますから、
アームの動作は円形ではなくて直線です。
それはB&Oのプレーヤーにあるのが代表的です。
だから、ダイレクトドライブでなければ、糸ドライブであるべきとか
そのターンテーブルはオール金属であり、ゴムマットは駄目とか。
LPレコード盤から音を引き出すだけのその技術には、
単なる物理性能だけではなくて、感性的、実感覚的な個性判断の下、
アナログ技術の詳細が求められていたと思っています。
その中で、学んだことこそ、アナログ技術の最先端でした。
フリーになって、それはターンテーブル=円形という形態、
その素材開発こそ、デザインしなければと思っていました。
素材開発とデザイン=問題解決は造形だけに非ずを知ったことです。


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「バイノーラル録音・本当の耳音」


   


     1月 22nd, 2012  Posted 12:00 AM

左右両耳にそれぞれマイクをつけて録音をします。
そうすると、本当に耳元の音を再現できます。
たとえば、散髪をしてもらうときにこのスタイルで録音をすれば、
ヘッドホンで再生するとそのまま、
全く散髪されているかのように錯覚するほどです。
私がヘッドホンのデザインに夢中になっていたとき、
この録音がドイツでは、
ラジオ放送でヘッドホンで推理ドラマがあるという情報がありました。
ところが運良く東芝総研には、
そのHATS(Head & Amp Torso Simulator)という
ダミーヘッドマイク装置がありました。
そこでそれを東芝EMIに持ち込んで、様々な場所での録音をし、
LPレコード化企画したのです。東芝では賛同が得られなかったので、
それならと、当時、東京で最大の量販店・第一家庭電器に持ち込みました。
第一家庭電器は、今はありませんが、(量販店は栄枯盛衰があります)
当時はDAM=Daiichi Audio Membersというユーザークラブがありました。
そのオーディオクラブの会員向けには「マニアを追い越せ大作戦」という
DAMレコードという
独自のマニア向けの特別なLP盤を会員だけにプレス出版していました。
このDAMでLP化することができました。
それはAurexを第一家庭電器に販売ルートつくるきっかけになりました。
以後、このDAM-LPの企画案から販売企画、
そして、TV-CFのディレクターも東芝社員としてやることができました。
このバイノーラル録音は
DAMのコンテスト企画になり優秀作品もLP化しました。
バイノーラル録音の最初のディレクターとして
「レコード年鑑」に私の名前があります。
したがって、ヘッドホンで本当の音はバイノーラル録音が
最適だと今でも私は思っています。
当時は、ラジカセにもバイノーラル録音が可能な機種も流行しました。
ヘッドホンだけを再生装置とするなら、
この録音の音楽ソースが欲しいと思っています。
というより、最近の録音の質はコンピュータを介在できるためか、
それなりの装置で試聴すると、
録音技術は悪くなっていると言ってもいいでしょう。
いわゆるミキサー=録音技師名が
アルバムタイトルになっているCDは本当に少なくなりました。

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