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Posts Tagged ‘ヒロシマ・ナガサキ’


  「東北に吹く風を見たい」


   


     4月 13th, 2011  Posted 12:00 AM

「イナサ」。
ほぼ日本全国の太平洋岸の風です。
そして、この名前の北限が久慈。
東から吹きはじめ、やがて南東の風になります。
南東風というこの風は、
激しくなると大きな災害=天災になるほど、
太平洋沿岸では怖がられている風です。
風は見えませんが、木立や海岸に打ち付ける波で、
風を見ていると思うのです。
あらためて、今の日本、その太平洋岸に吹いている風には、
放射能が確実に舞い飛んでいることが明らかになりました。
特に、春のイナサは、「くろがね(鉄)をも通す」と、
昔からこの風の話は伝説・民話となって語り継がれてきました。
福島第一発電所では、未だに予断を許さない事態です。
被災被曝レベルは最悪と発令されました。
しかも、現政権は御用学者を怒鳴りつけながら(噂)では、
彼らのような権力ベッタリの連中は肝心な事は言えないでしょう。
放射能は、報道される円形図解の中に、
収まっているわけではありません。
ようやく南東から西に回りながら北上していきます。
イナサからヤマジになっていく現象です。
本当なら、100キロ圏外にまで特に乳幼児は避難させるべきです。
風に雨が加われば、土壌汚染は進行するでしょう。
しかし、放射能被曝された土壌汚染を復旧させることは可能です。
ヒロシマ・ナガサキに原爆投下されたときも、
今後10年は草木も生えないといわれましたが、
翌年にはもう草木が生えて野草の花も咲いたということです。
しかし、その場の田畑農業の成果がまともになるかは不明です。
私は、現政権の判断には「決断」がないと断言しておきます。
まず不安要因あれば100キロ圏外に計画避難、
計画避難というのは、ともかく20〜30万人を収容して、
それから、安全地帯が80キロ、60キロ、40キロへ縮小させ帰宅。
これが本来の政権リーダーシップの正当決断だと思います。
その時間計算も、何段階かを予測できるはずです。
「風は見えませんが、風が吹いていることは分かります」。
放射能も見えません。
だから風のごとく「見える手法」の発想を求めるべきです。
現政権の退陣をともかく求めます。
楽園だった日本にリーダー不在はあまりに悲しすぎます。

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『資本主義からの逃走』
     「破滅と破壊・原子力について」


   


     8月 7th, 2010  Posted 12:00 AM

インドからの留学生
インドの「デザイン」は、
ウルム造形大卒業の一人が持ち帰ったところから始まりました。
インド工科大学ボンベイ校の教授一人がインダストリアルデザインを教えました。
その彼から留学生を預かりました。
成績トップの女学生がやって来ました。
カースト制では、父親がインド空軍の技師だったので2番目でしたが、
掃除・洗濯・食事にサーバントが3人だったとかで、
日本で初めて自炊・洗濯・掃除をすることになりました。
教授からは、「デザイン官僚にしたいからよろしく」とのことでした。
インドではかけ算が暗算できると聞いていたので、
22まで、いわゆる「九九」は完璧かと尋ねたら、101までの「九九」ができると返答されて、
実際に101までをやってくれました。
ある日、彼女は笑顔いっぱいに、
「教授、今日は最高の日になった!」と大声で言いました。
「何があったんだ?」
「これでパキスタンに絶対勝てる、原爆実験大成功!」
「ふざけるなー!」と、私は怒鳴りつけて、
今すぐ、金を出してやるからヒロシマ・ナガサキに行け!
命令をしました。
ヒロシマ・ナガサキ
一泊2日で広島と長崎に行って帰ってくるなり、大泣きしました。
帰路の車中もずーっと泣いて帰ってきたと言いました。
原爆の破壊のイメージはあったけれど、事実は知らなかったそうです。
「教授、私は耐えられない」と私の前でも泣き崩れました。
「君が日本で学べた最高の事だったかもしれない」
彼女は、名古屋の国際デザインコンペで部門優勝しました。
賞金50万円を持ち帰りました。
帰国して母校で講師とデザイン官僚になり、結婚をしてカーストはトップになりました。
今も、デザインを教え、デザイン行政に関わっています。
原爆の事実も伝えているとのことです。
彼女には、「破滅する歴史的事実」を見聞知識になっているから自信をもって発言できます。
「破滅の想像力」では、何事も事実には至りません。
デザインは、創造のための破壊をめざすことがあります。
破滅と破壊はまったく違います。
「原子力技術」はまるで「破滅と破壊」の両性具有です。
「原爆」は人類が創造してしまった完全なる「破滅」であり、
「原子力利用」は、「創造的な破壊思考」に進まなければなりません。
私は、ヒロシマ・ナガサキの事実から、
「創造的な破壊」思考を生み出すことが出来ると考えています。
そして、ヒロシマ・ナガサキの歴史的事実以上の「国家戦略」を情報創造すべきです。
その情報化創造とともに、「原子力技術の進化」が必要でしょう。


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