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Posts Tagged ‘メガネフレーム産業’


「資本主義からの逃走」
  「商習慣を遵守し、そして解放するのは・・・」


   


     3月 26th, 2011  Posted 12:34 AM

私のふるさと福井県。
その鯖江市の地場産業といえば、
最近では認知度の上がったメガネフレーム産業があります。
メガネフレームであって、それは眼鏡の部品にすぎません。
しかし、フレームが眼鏡の商品性を決定しますから、
デザインは商品性決定の大きな決め手になっています。
私はこの地場産業・部品生産にデザイン手法を導入している一人です。
すでに25年以上関わってきました。
様々な工業製品と比較すれば、
部品の部品性、素材性、そして身体・顔、頭部に装着します。
したがって、いわゆる人間工学的な設計は不可欠です。
私の作品であるメガネフレームには、
私の名前がそのままブランドになっています。
一つは、KAWASAKIということで、
それはそのままmade in Japanを明確にしていることです。
さらに、素材と装着感には常に先進性を求めてきました。
ところで、福井県としてこの地場産業をPRするアンテナショップがあります。
「Glass Gallery 291」というショールームであり、
ショップでもあるのです。
ところが、眼鏡業界においての商習慣では、
フレーム製造メーカーは、卸、そして小売りという流通、
このシステムを遵守しなければなりません。
しかも、日本は眼科医の処方箋無し、
小売り店舗で測定してレンズ調整までしてもらえるのです。
この流通システムに一つのビジネス・モデルが介入できました。
レンズ+フレームを店舗で安価に即刻手に入れることが出来ます。
しかも、フレームは中国製が大氾濫しています。
結果、地場産業の大打撃は、そのまま地方都市活力が奪われているのです。
この問題解決の課題を私は、デザイナーとして四方向からとらえています。
福井県眼鏡組合が出店している、Glass Gallery 291では、
これまでの眼鏡業界の商慣習・安価ショップ・中国製に対しての
新たな流通慣習づくりにデザインを関与させるつもりでいます。


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『資本主義からの逃走』
      「メガネフレーム、地場産業の基本姿勢」


   


     11月 18th, 2010  Posted 1:30 AM

メガネメーカーとデザイン契約
私はメガネフレームのデザインをしています。
すでに、今年は25 周年になります。
といっても、本当は27,8年になるはずです。
私がフリーランスになっているとき、
大学の恩師の紹介で、あるメガネメーカーとデザイン契約をすることになりました。
しかし、私はまったくわからない分野のデザインに取り組むために、
そのメーカーとの契約は待ってもらいました。
ところが体調がすぐれずに、担当医からふるさと帰郷を諭されました。ふるさと福井に帰りました。
すっかり、そのメーカーとのことは忘れていました。
が、そのメーカーは帰郷している私を訪ねていただき、デザイン契約をすることになりました。
しかし、私にはメガネそのものがわからずに、どうしたものかと悩んでいました。
幸いなことに、そのメーカーで私との契約担当だった部長が、
メガネの専門学校の教科書を貸してくれました。
日本にはメガネに関するオプトメトリスト養成制度は大学ではなくて専門学校にあります。
その教科書を読んでもさっぱりわからないまま、
ともかく「企画書」を書くことになってしまいました。
私が最初に書いた企画書は、「アイバンク加入企業」という企画書でした。
クライアント先のメーカーはとても驚き、
担当部長はすぐに金沢美大の恩師にその企画書を見せに行ってくれたそうです。
その恩師は、「川崎なら、ここから仕事をスタートするだろう」と言ってもらえたので安心でした。
アイバンク加入という提案
そこで、そのメーカーの取締役会で、「企画趣旨」をプレゼンしなくてはならなくなり、
かなりな熱弁をふるったものでした。
部長が伝えてくれました。
「デザインを頼んでいるのに、アイバンクとは何事か」と、ほとんどの取締役が怒っているけれど、
社長は認めていて一度話し合いたいということでした。
結局、そのメーカーは「盲導犬訓練への寄付」ということで、私の企画はそれなりに決着しました。
福井県鯖江市、人口6万5千人の街は「メガネフレーム産業」で生きている街です。
私は「目」を対象としている街の社会的な責務は、
「目の不自由な人」や「アイバンク」や「盲導犬」などへのまなざしが、
本来は地場産業の基本であり、そうした製造業企業姿勢にあるべきだということを主張したのです。
そうした社会的責務を基本にしてデザインというのが私としては基本姿勢になってしまいます。
それから、そのメーカーから現在の増永眼鏡は、「私のブランド育成」を支えてくれたのです。
デザインと企業責務姿勢
「アイバンク」運動、これも様々な問題に気づいていますが、
NPOをつくるまでに15年かかりました。SD-waveというNPO団体につながっています。
私のデザイン活動25周年のキャンペーンでは、
私が提唱しているPeace-Keeping Designも同時に展開してもらいました。
そして、メガネは現在、新たな時代に入ろうとしています。


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