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「沈黙の質、沈黙の美を問い直す」


   


     7月 29th, 2011  Posted 12:00 AM

サイレントユーザー。
商品やサービスのユーザーでありながら、
そのユーザーとして、
商品やサービスに不満や疑念を抱き、
本来なら不平や文句を言うところを我慢する人たちです。
そして、以後、決してその送り手である企業や組織には
二度と近づかない人・ユーザーのことを意味しています。
だから、デザイナーにとっては、
その不満や疑念もわからないままのユーザーがいること、
それはとても怖い存在です。
しかもこうしたユーザーの人が、
一度知人や友人に口コミ的に「あの商品は・・・」とか、
「あの企業は・・・」という話は、
企業存在を破壊する力があります。
いわゆるクレーマー=すぐに文句や不満を告げてくる人も、
ユーザーとしては、商品やサービス価値を貶めますが、
何も不満を語らない人の存在が最も怖いと思います。
私も自分の商品デザインを非難されたり批判されたりは、
常に起こっているものと判断していますが、
必ずこうした「沈黙するユーザー」がいることを意識しています。
若いときには特に購買するどころか使いもしないで文句を言われると、
「冗談じゃない」といきり立ったものです。
そして企業責任のあり方についても、
如何にクレーマーに対処するかというのでは、
それも企業のあり方を歪めるものになってしまいます。
ところで、今日本人は、
サイレントユーザーになってしまいました。
どれだけ不満や望みを伝えても、
現政府や行政に伝わらないならば、
「沈黙」する国民になってしまいます。
それが亡国につながってしまうと考えます。
現政府は国民のパニックを畏れて情報公開を控えている、
この考え方こそ、「沈黙する国民」を増加させています。
「沈黙は美なり」という武士文化も見事ですが、
「沈黙」の質にはきわめて慎重でなければ「効能性」、
さらに「存在性」を確実に失うことになるでしょう。
日本人は我慢強くそしてパニックにはならない知的存在であること、
私はその一人でありたいと思います。
だからこそ、日本人であることに誇りを持てるのだと思うのです。
今、「沈黙」が問い直されているものと判断しています。

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