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「司法最高権威のインテリア=恩師の作品」


   


     4月 19th, 2012  Posted 12:00 AM

私の美大時代・40年前はデザイン関連書はほとんどありませんでした。
だから、国内外の「建築家の著作」は相当に読んでいたと思います。
その時に決意したのは、
「工業デザイナーも言葉を持たなければいけない」ということでした。
それが、連載や著作、
しかも難解な文章のものと易しいもの両方出版をしてきました。
さてその頃、「システム」という言葉が建築界を席巻していました。
そして、私が「システム」の本意を納得したのは、
建築家・岡田新一氏のある一節からの解釈でした。
記憶違いではないと思いますが、
「製図台の前に立ち尽くす私の背後から包み込むシステムとは・・・」
彼の代表作に、国家権威の象徴である「最高裁判所」があります。
そして、そのインテリア、ドアノブからすべからく、
恩師・平野拓夫先生の作品です。
最も、わが国の「司法の最終的裁決の場」ですが、
その場を観ることはほとんどの国民にその機会がありません。
ところが、その最高裁の建築費は倹約の連続だったということで、
最も権威の象徴となる部屋の照明費用が皆無だったということです。
お二人は悩みに悩んで、気晴らしに時代劇の邦画を観にいかれたそうです。
ある場面は「月光の中での立ち回り」、
二人が同時に「これだ!」と合点したことは、
天井から「月明かりを入れる設計」にするということになりました。
その提案がすっきりと通過したというのです。
理由は、裁判は夕方には終了してしまうので、
照明装置や器具はいらないのではないかということになったそうです。
日本の司法の最高決定機関は、
まさに「節電」をしている造形の天井を持つ空間だということです。
おそらく、日本の建築界もこの裏話は知らないでしょう。
先生の著作は、MITから出版されていたり海外ばかりです。
私は意識してコレクションしています。
デザインに対する寡黙さの先生に対して、
私は饒舌に語りすぎていますが、
これにはやはりある恩師から言われたエピソードがあります。
平野先生は、私の著作は必ず読んで感想をいただいています。

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