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Posts Tagged ‘抽象化’


『資本主義からの逃走』
   「分断されている空間認識」


   


     10月 9th, 2010  Posted 12:00 AM

空間の領域的な意味印象
「空間」という言葉は、学や論の対象です。
空間学・空間論が様々に存在しています。
ところが、対象化する領域での認識は完全に分断されています。
特に、空間意識を抽象化する学域での理論と論理、
さらに具体化する問題化領域、この全ての領域で分断があります。
そして、この分断を論評する領域は不在であり、なおかつ不明と言ってもいいでしょう。
ともかく代表的な学域での「空間」定義をまとめておきます。
■ 数学的領域
通常的には、ユークリッド的には「三次元空間」のことであり、
広義的な集合論として、部分集合での数学的な構造では、
n次元空間・位相空間などが認識対象となっています。
■ 物理的領域
物質の存在、諸現象の生起する場、
物質や時間から独立した無限の容器としての三次元ユークリッド空間=ニュートンの絶対空間から、時間を含めた四次元リーマン空間の認識が対象化しています。
■哲学的領域
時間とともに世界を成立させている基本形式とまず考えます。
その客観的な実在を認める唯物論的な対象や、
カント的な直観形式としていく主観的な解釈対象など。
空間のデザイン創造
そして、最も一般的な意味では、「物が無くて空いているところ」を指し示しています。
「空間」=Spaceという訳語は、1881年「哲学字彙」で与えられたことで、
哲学的な領域での考察が深まっていったということです。
私にとって、上記の三つの領域は、「空間」へのいわば「述語的な世界観」として、
デザインのための手がかりになってきました。
それをさらに運用していくことがデザインの造形対象として私の空間認識とし、
私自身はこの分断の強調や融合、そして接合そのものが空間創造だと考えています。


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『資本主義からの逃走』
    「 デザインは文脈の想像から創造へ」


   


     8月 30th, 2010  Posted 12:00 AM

Connectionする脈絡
私が常に意識し続けているのは文脈です。
デザインは文脈表現だと宣言できます。
文脈とは、ただ単にことばや文章の脈絡のことではありません。
生きているという日常の連続性を抽象化できる言葉です。次のように言うことができるでしょう。
「文脈とは生きている=身体性の連続する日常性」だということです。
それなら、具体性は、言葉を結合=Connectionする脈絡です。
私は次のように具体化できるものと考えています。
生きている日常の「会話:談話」と「対談:対話」で、
何がConnectionしていくのだろうかということです。
それは、Conversation:Dialogueを構造化しているConsistencyです。
これがConceptとContextを結合= Connectionさせていくことにほかなりません。
私はこれがまさしくデザインでの問題解決、
その応答・回答・解答が成立する必要十分条件だと考えているわけです。
もっと単純に言い切ってしまうと、
デザインは文章表現と近似しています。
5W1H
5W1H=Who・What・When・Where・Why・Howを下敷きにして、
その上に、Conceptで「一言で言い切ったことば」を連結して、
Context「文脈」にしていく作業だとかんがえることができます。
Consistency
私はデザイナー、それもプロダクト系のデザイナーですから、
表現したモノとユーザーの間には必ず「対話」が生まれてほしいのです。
会話から談話、対談そして対話という脈絡こそ、文脈だと定義することができます。
一応ここまでが前提です。
いつ・どこでという時間と空間、なぜ・どのようにという理由・理屈によって、
それらの方法という一理が脈絡となって、
人間とモノとの対話に脈絡があることがテーマ(話題・課題・問題)の文脈、
それはContext+Concept=応答・回答・解答になってくれることで、
「使い勝手の一理」=Consistencyという対話・コミュニケーションが生まれるのだと思っています。


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