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『紙墨相発・電子ペンとノートとのインターラクション』


   


     5月 5th, 2016  Posted 12:00 AM

電子ペンとそのノートがどの程度使えるかを試しました。
正直、これまでやっと日本製が一つの手法を実現していたことを
見事に抜いていました。
電子ペンがねらってきたことは、録音もできるということと
それが、iPhoneやiPadでの線描との相性=即効的な反応でした。
これはノートにペンを走らせれば、画面にはほぼ同時に写ります。
その時にLivescribeのペンで話せば録音も同時だということです。
また画面上のスケッチや文字は色をレイヤーなど不要で、
選択した範囲は自由に色変えが可能になっていることです。
もっとも、ペンはペンデザインの経験や筆記具を知らないので、
あたかもこれが使いやすいという安易な形態になっていることです。
この傾向はすぐに分かります。
かつて、デザイナーが最適と言っていたペン形状やクリップは
すぐに見破られてしまうものです。
このことは筆記具や万年筆の知識が相当に要求されているということです。
鉛筆が必ずしも良いわけではありませんし、鉛筆でも限定されています。
とりあえず、スケッチの基本形体である立方体と円柱を描けば、
一遍にペンと紙とのタッチ性=紙墨相発、書の基本が感覚的に明白です。
スケッチ描写の基本である自由曲線は、デザインストロークとクロッキーを
電子ペンとノートとの紙墨相発はトレーニングが必要です。
多分、3ヶ月程度で「思い道理」になるでしょう。
それはまさにデジタルながら「手」で発想できるはずです。

*『アナログスケッチからデジタルスケッチへ・・』
*『AppleStore銀座イベントを終えて』
*『工業デザイン教育での「手」のトレーニング』
*『描くこと=その神髄を決定づけているペンと紙』
*「プロとして元気の素は鉛筆への作法」


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『鉛筆・最も基本的なモノにスタイラスもなってほしい』


   


     12月 28th, 2014  Posted 12:00 AM

デザイナーという職能を私はこの生涯つくすと考えています。
だから、あらためてデザインツールである鉛筆との生涯を考えます。
それは鉛筆とiPadスタイラスとの関係をつきつめているからです。
正直、iPadスタイラスとは、まだ自分の身体感覚には
大きな隔たりがあることを新しいスタイラスが登場するたびに
使用しながら、この感覚が離れている気がしてなりません。
私が鉛筆との重要性を考えたのは、
それこそ、美大の実技入試で鉛筆デッサン時そのものでした。
私が持参したのはそれこそ鉛筆硬度を2Hから6Bまでそろえていました。
が、その必要性は全く無駄でした。
入試トレーニングを果たしていた学生はHBとB程度と練りゴムだけ。
私は鉛筆デッサンを「アトリエ・入試実技」で覚えました。
金沢美大の鉛筆デッサンは、決して、指で鉛筆線をこすりませんし、
すべて鉛筆ライン、それも線描を重ねて表現すること程度の知識。
美大では徹底的にもう一度教わり直して、それ以来、
鉛筆を社会人になってから、ほとんど全てを使ってきました。
今も鉛筆は使わなくなってます。ボールペンにこだわっています。
しかし、スケッチは、発想の気楽さではB・2Bしか使いません。
それだけに、スタイラスが液晶画面に触れた時には、
指先に戻ってくるのはまさにBもしくは2Bの感覚でしかありません。
スタイラスの進化は世界的にも年間10~14程度の新製品です。
ただ、導電性ゴムのスタイラスはとてもいい加減なモノづくりです。
日本文具大賞の審査でもここ2~3年出品されてきますが、
こんなモノはただのブームにのりたい程度のモノにすぎません。
結局、iPadの描画アプリケーションソフトでも、
鉛筆のセッティングはHBもしくはB程度で充分だと判定しています。
私にとって、紙と鉛筆=iPadと鉛筆的スタイラス、
これが身体感覚になってくれることを最も願っています。

「プロとして元気の素は鉛筆への作法」


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