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『現地の反対があっても愚策の防潮堤建設』


   


     3月 13th, 2014  Posted 12:00 AM

3.11から3年も過ぎて未だに復興は進展していないと見聞します。
それは想定済みのことでしたし、まさか、防潮堤の建設には、
わが国ならではのアイディアがあるものと思っていました。
しかし、これほどの愚策を進行させているとは大落胆です。
「国土強靱化計画」のもし、具体策の一つだとしたら、
日本の土木業界は最悪の「金儲け主義」だけしか見えてきません。
そしてこの計画もその程度だと判断するべきです。
私自身、被災地のある市で副市長や部長クラスに「真剣」に、
プレゼンテーションをしましたが、
はっきりと言えば、若過ぎるキャリア副市長や田舎の市役所幹部、
彼らの能力をその時に即判断して、彼らには「絶対無理」だと思いました。
案の上でした。彼らの能力がそのまま国策にも反映していました。
今回の大津波を研究したのでしょうか?
大地震で誘発された海からの津波、それを迎え打つ防潮堤ではダメです。
むしろ、大海からの大津波対策以上に、引き潮対策が最重要です。
引き潮は場所によっては、6から60倍の引き潮力があります。
その対策無しに、ただ高ければいいわけではありません。
海も見えなくなる高い高い防潮堤建設とは情けない限りです。
いろいろと調べてみると、被災現地ではほとんどが反対意見です。
それほど国策は「まともなもの」でしょうか?
現地の反対を抑え込んで、太平洋の海原を見せない建築部とは、
ほとんど能なしの連中の「税金の無駄遣い」に過ぎません。
新しい防潮堤ほど今回の大津波で破壊されたことを知ってほしいです。
それこそ、江戸時代の干拓地は液状化を免れました。
今、建設が続いている防潮堤の計画設計をしている建築家がいるなら、
それは日本の土木工学そのものが自分たちの能力無しを晒しているのです。
減災堤・救済堤・救護堤・安全堤の思考ぐらいしてほしいと思います。
特に港湾堤や安全堤にしても、大海が明確に見える発想と設計が必要。
願わくば、海岸線の自然と人工に真の哲学からの発想と技術を、
私たちは学び直すべきです。
私たちは今回の津波でどれだけ多くの同胞をうしなったでしょうか。
その「祈り」の表れこそ、海岸線のあり方を再考すべきだと考えます。

「防潮堤工事は土木工学ではありえず」
「若手デザイナーの観察眼・被災地へのまなざし」
『「土地の記憶」は鳥居の位置その変遷にある』


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