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Posts Tagged ‘静謐’


5月9日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 9th, 2020  Posted 12:00 AM

5月9日 友引(壬子)

黙して義務を果たそうとする人には、
その人の欲望にはいつでも制御回路が働き、
静謐な欲望がホワイトホールを配置する。

倉俣史朗のデザイン『夢の形見に』18 アイ・ポイントからのミス・ブランチ


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「機関車の魅力=鉄道の魅力に潜むデザイン論理」


   


     6月 25th, 2012  Posted 12:00 AM

大阪駅に帰って来ると、
C57155の車輪が迎えてくれます。
子供の頃から、蒸気機関車が大好きでした。
「デゴイチ」か「デコイチ」かの区分にも私見があります。
そしてなんといっても北海道で、
蒸気機関車が全面ストップ寸前、まだ東芝マンでした。
それゆえに「蒸気機関車・SL録音出張」までしました。
しかもその録音はLPレコードとして商品化できました。
3重連で走りそこに雷鳴が、という素晴らしい音録りをしました。
鉄道は、子供たち、特に男の子にとっては魅力があります。
そこで、次のような課題を考えることができます。

■1.「新幹線はとても速い」だから「子供達に人気がある」
■2.「新幹線はとても速い」だから「目的地に速く着く」
■3.「蒸気機関車はかっこいい」だから「未だに人気がある」

この三つのテーマの中で、いわゆる数理的論理性は2だけです。
ところが、デザイン的な論理は、1と3です。
それには、二つの重大なキーワードがあると考えます。
まず、新幹線は流体力学的にも
造形デザインでスピード感がある形態=形態言語があります。
この造形言語による形態言語が、子供たちを虜にするのです。
また、蒸気機関車の造形言語には、力強さがあります。
この力強いという形態言語にさらには郷愁感が加わります。
したがってこの郷愁感には、
ノスタルジーやアンティック感は人間の感性を静謐に刺激します。
私は、現代デザイン・未来デザインとしての鉄道には、
速度性がある造形言語が創出されるべきだと思っていますが、
もう一方では、蒸気機関車のZゲージでは、
ドイツでの蒸気機関車のある種類に拘っています。
それは、速度感が編年的にアンティック感へ移行する感覚、
その魅力を見極めたいと思っているからです。
稲妻と雷鳴の中で、三重連で走るD51の姿=形態言語は、
今も私の脳裏には明確に思い出すことができます。
造形言語と形態言語の関係、
この構造主義性はこれからのデザイン論理として研究が必至です。


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「長谷川等伯と狩野派の対決から」


   


     11月 1st, 2011  Posted 12:00 AM

長谷川等伯には心をひかれています。

だからこれまで美術専門誌で彼への想いを依頼されて、
何度か書いてきたことがあります。
狩野派=安土桃山時代に、
権勢をふるっていた中央画壇とその体制に、
果敢に挑戦して画法革新を具現化していた田舎絵師等伯は
ここ数年ブームになっています。
出光美術館では、ずばり、等伯と狩野派を対比させる
展覧会を開催しています。
なんとしてもこれは絶対にと思いじっくり鑑賞しました。
これほど多くの観客が訪れながらも静かな展覧会でした。
皆さんが解説をじっくりと読み、
400年前の二つの対決、それなのにお互いの影響ぶりを
堪能されているとても素晴らしい雰囲気の展覧会でした。
長谷川等伯は能登(石川県)七尾から京にて、
大権勢と政治力のある画壇に、静謐な画風で、
狩野派に嫉妬と嫌悪され、
次々と様々な策謀に巻き込まれた画家でした。
画法ひとつでそのような政治力や権謀術策に立ち向かったこと。
私にとってはたまらない魅力があります。
無論、等伯の中国ではほとんど見向かれなかった画法、
「骨法用筆」=輪郭線表現をしないで、
光と大気に対象物を描き出す手法を完成させた画家でした。
狩野派は彼の存在を歴史から抹消させようとするほど彼を敵視しました。
織田信長、秀吉、そして家康という時代は、
画家だけで無く、宮大工や刀鍛冶までも、
パトロンである時の権力者に愚弄させられます。
それでも、「作品」は権力を超越した価値観を、
現代にまで伝えています。
あらためて、等伯・長谷川派と狩野派を見比べられました。
やはり等伯の「骨法用筆」には、権力との闘いなど皆無の静謐さ、
交響曲のアダージョが聴こえてくる印象がありました。
ホテルにもどってからも、展覧会のカタログに読みふけりました。
特に「竹林図」を観ると現代日本からすっかり竹林は消滅しています。
地震国日本に竹林は不可欠でした。
なぜなら、竹林は根が複雑に張り巡らされていて、
地盤を強固にしていたといわれています。
あらためて、水墨画から「やまと絵」までを存分に
楽しむことができました。


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