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Posts Tagged ‘NHK大河ドラマ’


『ある時期を過ごした思い出の街の姫路城、その高度な文化』


   


     12月 8th, 2014  Posted 12:00 AM

2014年12月6日。
私は講演に呼ばれて姫路市に出かけました。
40年前に、私は東芝の新入社員として販売実習で3ヶ月、
この街、駅前大通の家電量販店で、ラジオ、TV、冷蔵庫販売。
一週間、じっくりお客さんの出入りを見ていれば、
何曜日の何時頃、お客さんの来店混雑がわかり、購買決定は、
必ず奥様が分かりましたから、量販店には支店会議があるからとかで
ほとんど映画を観たりして、そして、大量に売っていました。
サボっているのに売っていることを、他社のヘルパーから睨まれ、
それなら、直ぐに喧嘩をし過ぎて、田舎街の量販店に飛ばされました。
そこでも、売りまくりました。新人研修、西日本地区では売り上げ5位、
報奨金は当時のボーナス同等でした。
デザイナーになるための通過点でしたが、性分上、売るならトップに
懸命にやり切った街でした。
東芝の本社に戻らず、量販店に来ないかとまで誘われるほど売りました。
40年ぶりに姫路城を見ました。おそらく日本で最も美しいお城です。
ちょうどNHK大河ドラマとのコンビネーションでブームの街ですが、
私は、このお城が存在していることがすでに大宝物のある街であり、
これを後世に残した黒田官兵衛なる人物の存在に敬意を持ちます。
現代までにもこれだけ美しい建物を残した偉大な人は限られています。
後世への遺物として、美しい建物を遺すというのは偉業です。
だから、この大遺産を本当に大事にすべきだとことさら思います。
それはこの建物同様の素養が育てられてきただろうかということです。
私はとてもささやかで小さな講演会かもしれませんが、
姫路城を心から意識して、自分の役割は最大に計ったつもりです。
ところが、姫路駅に限らずですが、駅ホームは、
あれからどれだけ私たちが文明を進化させてきたでしょうか、
無念ながら、文化はその文明に比してとても貧しくなっていました。


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『資本主義からの逃走』
  「虚構・大河ドラマのヒーローはトリックスターである」


   


     11月 4th, 2010  Posted 12:01 AM

坂本龍馬はヒーローか
NHK大河ドラマは日本の歴史的物語です。
毎年、誰が主役となりその活動の街が脚光を浴びます。
今年は「坂本龍馬」でした。
時代は幕末、大政奉還という日本の転換点が選ばれました。
制作側には、現代日本に対するなんらかの意図があったのでしょう。
ヒーローがトリックスターとなる虚構性
この大河ドラマは日本人に対して、
大きな連綿させるべき意識構造の維持をめざしていると私は思ってきました。
しかし、このドラマはヒーローを演出した情報操作だと判断しておくべきでしょう。
すなわち、大河ドラマに関わらず、
いわゆる歴史小説はすべからくその主人公をヒーローとした「虚構」、
情報操作どころか情報攪乱性さえあるということを分別しておかなければならないでしょう。
結局、歴史物語・歴史小説・歴史そのものが、
ある意味では、歴史情報・歴史時空間性での虚構性があるということです。
日本にとって、300年の武士社会・鎖国時代からの解放であった明治維新には、
現代日本のその後の原点の多彩な展開があり、登場するヒーローへの強い敬愛観が出るものです。
私は、明治維新に至るまでの1800年代を見るとき、近代日本の医学的歴史書に最も注目しています。
理由は、ただ一点です。
虚構非在の歴史性
医学的な事実には、「虚構性」を忍ばせることは不可能だと考えるからです。
幕末から明治維新での、経済史・政治史・その他どのような領域においても、
「虚構」を包含させる可能性があるからです。
杉田玄白から福沢諭吉に至るまでの史実の中に、
幕末・大政奉還が記述されている近代医学史に、当時の政治情勢、特に開国に至る経過には、
坂本龍馬というヒーローはまったく存在していません。
となれば、トリックスターをもってのヒーロー物語は、
「虚構」そのものでしかないことを明記しておきます。


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